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最高裁判所第一小法廷 昭和44年(オ)56号 判決 1969年6月12日

主文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人樋口幸子、同青木正芳の上告理由第一、二点について。

原審において上告人らの主張するところによれば、「本件係争山林は、下閉伊郡新里村蟇目第七地割字日蔭永田一一一番の一イ号の一山林三町六反三畝二二歩の一部に属するものであつて、登記簿上は訴外佐々木又五郎の所有名義になつているが、実際は上告人らの所有に属するものである。しかるに、被上告人らは権原なくこれに立入り、植林および立木の仗採をなすので、被上告人らに対し右土地が上告人らの所有に属する旨の確認および右地域内において植林しまたは立木を伐採しないことを求める。」というのである。この上告人らの主張によれば、被上告人らは、本件山林について何らの権原をも有しない者であるというのである。しかして、これに対し被上告人らは、本件山林が被上告人ら所有の同所一〇五番の三山林一町歩および同番の二山林一一町四反二畝二三歩のうちに含まれていると主張して争つたところ、原審は本件山林が上告人らの所有に属するか、または被上告人らの所有に属するかについて十分に判示するところなく、単に上告人らが右一一一番の一イ号の一の山林について登記を経由するところがないとの一事により、上告人らは被上告人らに対し本件山林の所有権をもつて対抗し得ないとして上告人らの右請求を排斥したのである。これは、原審が、民法一七七条を誤つて適用したものというべく、この誤りは原判決の結論に影響すること明らかであるから、論旨はこの点において理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、上告人らの請求の当否についてさらに審理をする必要があるから、本件を原審に差し戻すべきである。

よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松田二郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)

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